第149章 お母さんは本当にあなたを愛している

息子のために手作りの朝食を弁当箱に詰め、病室へ届けに来た中野航平は、廊下の先――病室の前に立つ細い背中を見つけると、口元が勝手にゆるんだ。

やっぱりだ。

栞が、そこまで薄情なはずがない。

長谷川栞が病室の外に立っていた時間だけ、航平もまた、曲がり角の陰から彼女を見ていた。

やがて栞がようやく決心したように、そっと病室のドアを閉める。中へ入らず、背を向けて立ち去ろうとした、その瞬間――航平は身を翻し、すっと曲がり角の奥へ引っ込んだ。栞に気配を悟らせないために。

入らなかったということは、誰にも「来た」ことを知られたくないのだろう。

なら、自分がわざわざ暴いて、彼女の機嫌を損ねる必要...

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